1日1本のアニメ映画を要求する!

嫌いな小説は森絵都の「カラフル」

137.のび太の宇宙開拓史 A

概要:野球用の空き地が中学生に乗っ取られてしまった。のび太ジャイアンに「空き地を取り戻すか新しい空き地を見つけろ」という無理難題を押し付けられる。一方そのころ、コーヤコーヤ星の住人ロップルとチャミーは立ち退きを迫る大企業ガルタイト鉱業に追い立てられて超空間の中で立ち往生してしまい、倉庫の扉が偶然のび太の部屋の畳へとつながってしまった。ロップルとのび太ドラえもんは友情を深め、ガルタイト鉱業の悪辣な地上げに立ち向かう。

感想:「新旧問わず、ドラえもん映画の傑作って何だろう?」と考えたとき、俺は旧からは恐竜とこれを挙げたい。現代ではもう作れない傑作だからだ。
勇気だ信念だ、そういう説教臭いテーマではなく、単純な勧善懲悪、無駄に凝ったSF設定、「父の想いを受け継ぎたい」「友達を守りたい」という素朴な感情などが物語の根幹となる。時代柄お涙頂戴のくどい演出もなく、「心をゆらして」を流すだけでちりばめた永久の離別の暗喩と画だけでシンプルにうるっと来るようにしてある。そして何より、もう鬼籍に入ったレジェンドたちがものすごく若いころのハリのある演技だったり、しずかちゃんの性格がパワフルだったりというのも時代を感じる。
だからこれは掛け値なしに傑作であり、同時にドラえもんという映画のモニュメントだと思う。恐竜は似たようなものを令和でも作れて、実際に「2006」や「新恐竜」っていう作品もあるけれど、この作品は下手にリメイクできないと思うのだ。リメイク版も評判悪いし。
弱点がないわけではなく、途中で二転三転するプロット(中学生は結局何だったんだよ)とか、ギラーミンが出たのはいいけどめちゃくちゃあっさりやられちゃったりとか、せっかく出したものを生かせてない感はある。あと低重力の世界だと英雄になる、ってのはドラゴンボールよりも先なんだっけ?何か元ネタでもあるのだろうか。